骨の代謝と骨粗鬆症

骨の代謝とカルシウム【皮膚と同じように、骨も日々新陳代謝を繰り返している】

骨の再構築=リモデリング

  • 破骨細胞による骨吸収
    古くなった骨を溶かしカルシウムを血中に放出します。
  • 骨芽細胞による骨形成
    壊された骨を修復し新しい骨を作ります。

このサイクルの繰り返しで強くしなやかな骨が保たれている

血液中カルシウムの恒常性=血中のカルシウム濃度は常に一定に保たれています。

私達人間の血中カルシウム濃度の正常値は8~10㎎/dlで、どんな環境においてもこの値以内の変動しかおきません。この値から外れると細胞のさまざまな機能に異常が生じ、生命に危機がおよびます。

  • カルシウム量が不足すると血液中のカルシウム濃度を維持するため、骨からカルシウムが溶け出して骨密度が減少します。
  • カルシウム量が充足すると血液中のカルシウムが骨に取り込まれて骨密度が増加します。

骨は体を支え臓器を保護し 人の活動の機軸となるだけでなく、生命維持に欠かすことのできないカルシウムを 貯蔵する大切な器官です。

骨の重要な役割

  • 物理的な働き:体の支えや臓器の保護
  • 生理的な働き:血中カルシウムの恒常性
  • 造血器官としての働き:骨髄には血液の元となる「造血幹細胞」があり、この造血幹細胞から新たな血液(細胞)が作られます

骨強度(骨密度・骨質)と骨粗鬆症

骨強度(強くてしなやかな骨)

骨密度が約70%、骨質(骨梁構造)が約30%の割合で関係しています。

骨粗鬆症

たんなる老化と考えられていた骨粗鬆症は、骨強度の低下によって骨折のリスクが増加した骨の病気であるとされ、又、”骨強度は骨密度と骨質の二つの要因により規定されるもの”と定義されています。(2000年,米国立衛生研究所NIH)
健康な状態では骨の破壊(骨吸収)と形成(骨形成)の2つの作用のバランスは均衡しており骨の量は一定に保たれていますが、加齢や閉経、カルシウム不足や運動不足などの要因でこのバランスが崩れると骨粗鬆症などの骨の病気に陥ってしまいます。

(2001年国民衛生の動向より)
骨密度(骨量)は、18歳で既に最大値に達しており35歳を過ぎる頃から減少します

特に女性の場合
35歳以降-1年に1%ずつ骨密度が減少
閉経後-1年に2~3%ずつ骨密度が減少 ※1

※1) WHO(1994)゛Assessment of fracture risk and its application to screening for Postmenopausal osteoporosis Report of a WHO Study Group″Worid Health Organization Technical report series 843

骨折しない骨を作るために

カルシウムを多く含む主な食品
ロコモーショントレーニング(ロコトレ)

最近の研究で、最大骨量は18歳時に得られていることが明らかになり、適度な体重維持と、
18歳迄の積極的なカルシウム摂取や荷重運動の指導が有効であるとされています。

(骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2011年版)

骨粗鬆症は、歩行困難や骨折してしまってからでは遅く、事前に予防することが大切です

  • 普段の食生活ではカルシウムが不足しがちなので、カルシウムを多く含む食品を効果的に組み合わせて、栄養バランスのとれた献立をつくることが大切です。
  • ウォーキング等の適度な運動が骨の健康に効果的で、女性は1日に6,000歩、男性は7,000歩が目安です。

ロコモティブシンドローム(運動器症候群)

骨(骨粗鬆症)・関節(膝関節症)・筋肉(サルコペニア)など運動器の衰えにより介護が必要な状態や、介護が必要になる危険の高い状態のことを「ロコモティブシンドローム」として日本整形外科学会が提唱しています。

  • 運動器の衰えは40歳代頃から徐々に始まっているが自覚症状はほとんど無く、ひそかに 進行していたものが50歳代頃から歩行障害として表れ、検査で異常がわかる人は4700万人に上ると推定されています。
  • 自宅でもできる片足立ちや椅子を使った立ち座り、ウオーキングなどの簡単な運動から毎日継続することが大切です。